水の浄化に関する豆知識(水資源の現状)


(1)Water Planet  (水のある惑星)


地球は水の惑星ともいわれていますが、地球上の水の量のうち約97.5%は海水です。
淡水は約2.5%。しかも大部分は南・北極地域等の氷です。そのうち利用が比較的可能な河川、湖
沼等の水量は、地球上の水のわずか0.01%にすぎないのです。
( 参考:「日本の水資源」より )


私たちは、この大きな循環の中で水を利用し、生活していますが、この排水が原因で、近年は魚が住
めない、水の利用も困難な川が増えてきています。
汚れた水は下水道などできれいにして自然界に返し、自然界のバランスを保つ要があります。直接、
河川や海域に放流する排水は水質を向上させることが未来につながる最優先な緊急課題となります。


(2)水循環の概念


水は、地球上の循環型資源であり、生物の命を育み、私たちの生活や産業に不可欠な基本要素です。
また、大気から大地、河川等を経て海域に向かう水の循環は、河川・地下水の水量の確保、水質の浄
化、水辺環境や生態系の保全に大きな役割を果たしています。


(3)水質汚濁防止法基準



(4)生活排水による影響①  (家庭から排出される物資)


AE  =  ポリオキシエチレンアルキルエーテル・・・・・シャンプー  リンス  歯磨き
LAS =  直鎖アルキルベンゼンスホルン酸ナトリウム・・・・・家庭用洗濯洗剤

(5)生活排水による影響②  (河川への悪影響)


石けんは河川に流れても、1日で分解されますが、合成洗剤はどんなに薄まっても分解がなかなか進
行しません。合成洗剤は細胞を破壊する作用があるため、河川に生息するバクテリアがやられて死ん
でしまいます。
バクテリアは有機物を分解するという河川を浄化する源の作業をしています。そのバクテリアがいな
くなるということは、河川の有機物汚染が進みますし、生物間の食物連鎖のバランスが崩れることに
もなります。

       

(6)生活排水による影響③  (水棲生物への悪影響)


ウニは人間と発生の初期の段階が非常に似ているので、催奇性の実験に良く使われます。
そのウニの受精に影響が出ます。合成洗剤の百万分の一(1ppm)の濃度でまともな受精ができない
のです。
石けんでは、その100倍濃い濃度(1%)でも発生の遅れはあってもほとんど問題はありません。
アワビでも影響が出ます。三重県鳥羽市では漁穫高の減少と合成洗剤の普及時期とが密接に関係して
います。

実験動物の半数が24時間以内に死んでしまう界面活性剤の濃度(TLm値)でいうとメダカの成魚で
6ppm、ふ化したばかりのメダカでは1ppmです。メダカはえらで水中の酸素を取り込んで呼吸してい
ます。合成界面活性剤は、えらの細胞を破壊してしまうのです。河川の多くは合成界面活性剤の濃度
が1ppmを越えていると報告されています。このままではメダカが絶滅するのは時間の問題です。

      

(7)生活排水による影響④  (下水道への悪影響)


下水処理とは簡単にいえば、微生物がたくさん入った入れ物の中に汚水を入れて、その汚れを微生物
が餌として食べることで汚水をきれいにしています。ところが合成界面剤はその微生物を殺してしま
うので、処理能力が極端に低下してしまいます。

静岡県三島市で下水の処理がうまく働いてくれなかったので、この下水道を利用している世帯全てで
洗濯用合成洗剤を止めて、石けんを使用したら、下水処理能力が3倍にアップしました。
石けんは微生物を殺してしまうどころか、餌になるのでどんどん増殖して活発に活動します。

   

(8)生活排水による影響⑤  (下水道のしくみ)



合成界面活性剤による悪影響は、処理能力を低下させるだけでなく、その放流水が河川や海を汚し、
また、処理場から毎日出される汚泥は、浄化されていない合成界面活性剤や化学物質を含んだまま山
間地へ埋め立てられているのです。このことが、地下水や河川の汚れをも引き起こしています。

(9)生活排水による影響⑥  (人体への影響)


旧厚生省は皮膚科,小児科病院をモニターにして、1979年から健康障害の調査をしています。皮
膚科では調査以来連続して健康障害のトップは合成洗剤です。今やアトピーは深刻な問題になってい
ます。

   

(10)生活排水による影響⑦  (合成洗剤による障害)


①手荒れ

 

主婦湿疹などに代表される手荒れは、台所用合成洗剤、洗濯用合成洗剤が主な原因です。

②オムツかぶれ
洗濯用合成洗剤,合成の柔軟仕上げ剤が主な原因です。皮膚の谷間ではなく、オムツに接している部
分がかぶれたり、ただれたりします。


③アトピー性皮膚炎
皮膚は皮脂膜というもので覆われていて、外部から皮膚を保護しています。合成界面活性剤はこの皮
脂膜を破壊してしまうので、かさつき,荒れ,湿疹の原因になります。
洗濯用合成洗剤を石けんに替えたり、柔軟仕上げ剤を止めたり、浴用石けんを使って体を洗うことで
症状が改善されます。



④頭皮障害
頭皮のかゆみ、フケ、抜け毛、カサブタ等は、合成界面活性剤のシャンプー、リンスが主な原因と言
われています。

   

(正常な髪の毛)             (痛んだ髪の毛)


⑤内臓障害
合成界面活性剤が皮膚から吸収され体内に入った場合、内蔵とくに肝臓に悪影響が出ます。人間が作
り出した合成界面活性剤は、皮肉にも人間の体の中では異物となり、しかも分解されません。


⑥胎児への影響
母体の皮膚や口から入った合成界面活性剤は催奇性、胎仔異常など様々な異常を引き起こす原因の1
つだと言われています。合成界面活性剤は発生受精に邪魔をします。女性用避妊フィルムは合成界面
活性剤が主成分の殺精子剤です。


(11)生活排水による影響⑧  (日本のガンの発生率死亡率の推移)



(国立がんセンター調べ)


ガン(=悪性新生物)による死亡率は、1950年代に入って急激に伸びている。終戦後、アメリカに追
いつけ・追い越せの産業時代と時期が同じである。戦後、原油の廃油を用いたVAT製法により、よ
り多く・より安い日用品が流通するようになった。皮膚は壁のような構造であり、VAT製法で使用
される合成界面活性剤やタール色素は、外部から浸透しないため人体には影響がないと考えられてい
たが、そうではなかった。

(12)生活排水に対する対策  (家庭でできること)


旧厚生省は皮膚科,小児科病院をモニターにして、1979年から健康障害の調査をしています。皮
膚科では調査以来連続して健康障害のトップは合成洗剤です。今やアトピーは深刻な問題になってい
ます。



(13)生活排水に対する対策  (企業がおこなうこと)


国際環境規格ISO14001取得という企業がたくさん増えています。また私たちにもすっかり耳慣れた言
葉になりました。後世に良い環境を残していくことは非常に素晴らしいことであると思います。しか
しその規格には範囲内である事の項目がたくさん盛り込まれているのです。


企業から規格範囲内で放出された排水は2次コストかけてさらに浄化されている事実を知らなければ
なりません。2次コストをかけることはCO2の排出を著しく助長します。


規格範囲内から離脱し、限りなく“有害排出物ゼロ”に近い排水を流していけるようにすることが浄
化スピードを加速させる事だと思われます。



(14)まとめ


いろいろと排水の現状をお話してきましたがこの現状から見て私たちはすぐに、出来る事から始めな
ければなりません。人体・河川・海域やがては食物連鎖まで変化させてしまう排水を浄化させなくて
はなりません。私たちの子供や、孫やひ孫らのためにも私たちに時代に戻しておかなければならない
のです。工業排水はもちろんの事、日常の家庭生活でも考えなければならない問題です。地球は私た
ちの時代だけのものではありません。